空室対策ブログ

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2022.02.15   空室対策ブログ

外国人の入居実態

現在日本の総人口は少子化の影響で減少傾向にあり、それに比例して賃貸住宅の入居者数も減少していく可能性が非常に高いと言えます。そんな中、今後賃貸入居のニーズが高まると予想されているのが海外からのお客様。
日本に住民登録をしている「在留外国人」と、旅行などの観光目的で一時的に滞在をする「訪日外国人」に分かれますが、どちらも近年増加傾向にあります。
さらに、政府は「2025年までに外国人労働者の受け入れを50万人に」という指針を設けており、長期で滞在することになる外国人労働者からの賃貸住宅の入居ニーズは今後更に高まっていくことが考えられます。
しかし、空室に悩んでいても、言葉の問題や習慣の違い、様々なトラブルへの懸念などから、外国人の入居はあまり積極的に行わないというオーナーさんが多いのも事実です。
そこで今回は、外国人の入居の実態やトラブル、トラブルを未然に防ぐ方法などについてお話いたします。

■外国人の入居の現状

近年日本に滞在する外国人の数は増加をしており、空室に悩むオーナーさんには空室を埋められるいい機会となっておりますが、実際に住居を探す際にさまざまな困難に直面する外国人が多いです。
実際に直面した問題は、大きく分けると以下の3つが挙げられます。

  1. 1.自国にはない敷金・礼金や鍵交換代などによる入居時の費用の高さ(47%、243人)
  2. 2.難しい日本語で書かれた契約書で交わされる手続きの複雑さ(44%、231人)
  3. 3.日本語が話せない外国人にとっての言語面の不便さ(37%、194人)

その他、「日本人の保証人がいないと手続きができない」、「口座や携帯電話を持っていないため手続きが進められない」なども問題点として挙げられています。これらのハードルを少しでも下げる事ができれば、空室に悩むオーナーさんや外国人双方にとってWinWinの関係になっていくのではないでしょうか。

■外国人の数

2021年6月末の出入国在留管理庁の発表によると、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大予防措置で、新規入国が閉鎖された影響で、2020年末に比べ6万3551人(2.2%)減少となったものの日本に住んでいる外国人材は、282万3, 565人と日本の総人口の約2%を占めております。
また現在、日本に住む外国人の4割が一都三県に集中して居住しています。反対に、外国人居住者がもっとも少ない秋田県ですが、それでも居住者は4,366人となり、もはや、日本において外国人が居住していない都道府県はないといえるでしょう。
国別では、1位が中国、続き韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールとなっております。
このような状況をみてもやはり外国人の賃貸入居のニーズが一定数ある事が分かります。

■どんな職業が多いか

日本で働く外国人といえば、技能実習生をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
それ以外ですと、テレビで見かけるタレントや有名レストランのシェフ、アスリートやスポーツ指導者など、ちょっと特別な存在を思い浮かべる方もおられるかもしれません。
しかし実際には、もっと皆さんの身近に日本で働いている方はたくさんいます。
例えば、最近では以下の3つの職種が主に挙げられます。

  1. 1.プログラマーやエンジニア、機械系などの専門的な業務
  2. 2.事務などの人文知識を生かした業務
  3. 3.通訳や英会話など母国語を生かした国際業務

英会話教室の先生などはイメージがつきやすいかもしれません。
日本で働く外国人は、基本的に働くことが許されている就業ビザ(在留資格)を持っており、ビザの種類によって就職できる仕事の種類が変わります。
いくつかあるビザの中でも、これからの日本で活躍が期待されるのが「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ外国人技術者です。
更に「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人技術者は、日本でもこれからの成長が見込まれる技術分野、営業や事務、語学を活かすことができる職業での活躍が期待されています。

■起こしがちなトラブル

続いて、オーナー様が一番気になる、外国人の入居に伴うトラブルについてお話していきます。
大きく分けると6つあります。

  1. 1.騒音
    外国人入居者に限りませんが、大音量で音楽を聴く、遊びに来た友人と大声で騒ぐ等の騒音トラブルは見られる傾向があります。
    騒音トラブルは、他の入居者や近隣住民の迷惑となり、賃貸物件の管理に重大な支障をきたす場合があるので、注意が必要です。
  2. 2.ゴミ捨てのルール
    海外では、日本のようにゴミ出しのルールが徹底されていない地域も多くあります。
    たとえば外国人入居者が、食べ物をそのまま捨てる、分別をしない(分からない)など、ゴミを捨てる際のルールを守らない事があり、異臭問題等に発展しかねません。
    ゴミ捨て場の管理は、衛生面からも極めて重要なので、早急に対処が必要となってきます。
  3. 3.無断転貸
    賃貸物件を、勝手に他人に転貸するケースもみられる事があります。(無断転貸)
    無断転貸が行われると、賃貸人の知らない人が住んでいる事になり、特に外国人入居者の場合、たとえば不法滞在の温床となる可能性がある等、賃貸人としてもリスクを背負う場合があるため、注意が必要です。
  4. 4.他人との無断同居
    外国人に限りませんが、賃貸契約締結時には申し出のなかった人と、無断同居しているケースがあります。
    例えば、単身者を前提としていたにもかかわらず、実際には、複数人で入居している、等のケースです。
    入居者の人数が多くなれば、騒音トラブル等、別のトラブルが起こりやすくなり、居室内の設備劣化も早くなる事が想定されます。
    その他契約上、想定されない同居人が存在する状況は、契約手続き遂行上、賃貸人様にとってのリスクと見る事ができます。
  5. 5.部屋を勝手に改装
    最近ではDIY賃貸等が徐々に出てきておりますが、賃貸居室を無断で改装してはいけない事は、基本的な考え方です。しかし、日本の法制度や文化、建物の構造を理解していない人が、居室を勝手に改造してしまうケースもまれにあるようです。
    無断改装は、やり方を間違えてしまうと、設備を痛めてしまう上、万一、賃借人が原状回復を怠った場合には、賃貸人が原状回復工事負担しなければならない等の、事態が生じてしまいます。
  6. 6.家賃滞納後に失踪
    外国人入居者の中には、家賃を滞納し、何の連絡もなく勝手に引っ越したり、そのまま本国に帰ってしまったりする方も、ごくまれに出るケースがあります。
    トラブルの発生状況はそれぞれですが、言葉や習慣が違うと、上手く伝わらなかったり、意図と違うように捉えられてしまったりする事が多く、勝手にいなくなってしまったことにより、別のトラブルに発展するケースもあります。

■トラブルを未然に防ぐには?

ここまでトラブルについてお話してきましたが、やはりトラブルは極力避けたいものです。
お互いが気持ち良く生活できるように、未然に防ぐ方法をお話していきます。

  1. 1.重要事項をあらかじめ丁寧に説明する
    外国人入居者は、日本の文化、常識、賃貸借のルールをよく知らないケースがあります。
    そのため、入居者がどのような事項を守らなければならないのかを、あらかじめ何度も丁寧に説明しておきましょう。特に、日本語を理解しない外国人入居者の場合は、可能であれば通訳を付けて説明を行うのが望ましいです。
    しかし、それでも人は忘れてしまうものです。
    そこで、最も効果的なのは、定期的な入居者とのコミュニケーションです。
    慣習の違いなどから、勘違いから発生している場合が多く、ゴミ出しなどについても、このように捨ててください、というデモンストレーションを行う事で、入居者も理解してくれることが多いです。
    これは外国人問わず、無視や放置をするのではなく、どのように関係を築いていくか、それにより、良い環境、人間関係を築いていく努力が必要になります。
  2. 2.管理会社のサポートを活用する(管理会社との連携)
    他の入居者や近隣住民とのトラブルを発生させた場合には、管理会社と連携して対応しましょう。
    管理会社には、入居者トラブルへの対応に関するノウハウがありますので、状況に合わせた適切な対応が期待できます。
    言い換えますと、ここで新味に対応してくれる管理会社でなかった場合には、今後の管理を任せられるか、再考することも必要になってきます。
  3. 3.入居審査をしっかりと行う
    外国人入居者に関するトラブルを避ける為には、トラブルを起こしそうな方を、そもそも入居させないことが、最も堅実な予防策です。
    これは、経験がものをいう部分でもありますが、実際に入居希望の外国人と面接を行い、信用できる方かどうかを見極めることも有効です。
  4. 4.保証会社に加入させる
    外国人の入居者には、帰国など、日本人ではあまり考えにくいトラブル事案に対しても、備えておくことが肝要です。
    それらに対し、賃貸人として有効な手段となるのが、保証会社への加入になります。
    弊社では、外国人の方には一律、保証会社への加入を要求しております。
    言い換えますと、何らかの事情で保証会社に加入できない方は、一律お断りしております。
    大事なのは、何か起こった時の選択肢を確保しておくことです。
    その中でも、保証会社は、賃貸人様の強い味方になってくれます。

上記でもお伝えした通り、外国人の方は、日本の習慣や常識が分からないことが多いため、事前に特に気をつけてほしい事やルールなどは丁寧に何度も説明をすればトラブルに発展しにくいことが多いです。
外国人に限らずですが、しっかりコミュニケーションをとっていく事が非常に重要です。

■まとめ

ここまで、外国人の入居の実態や現状等についてお話してきました。
実際に外国人入居者を受け入れるとなると、様々な壁が生じてくる可能性は高い為、躊躇してしまうオーナーさんも非常に多いのが現状です。
しかし、2017 年 8 月には、国土交通省から「不動産事業者のための国際対応実務マニュアル」が公表されるなど、外国人との不動産取引を行う体制を整備する動きも進んでいます。
今後、不動産ビジネスを拡大するためには、外国人を取り巻く背景や環境、住居に対するニーズを十分に理解し、事業戦略に織り込むことが本格的に求められるでしょう。

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